1 2014年 10月 11日
テルミン作家のギャラリー 今回は2アンテナテルミンの最新作のご案内です。 アナログ式テルミンを1台1台丹精込めてお作りします。 以下からお好みの音色と、ケースの型をお選びいただけます。 1アンテナの簡易型テルミン、子供サイズのテルミンもございます。 特殊ケースへの組み込みも承っております。 選べる音色 アナログテルミンは基本になる音色(素の音)が回路方式により異なります。 ■ ヘテロダイン式 ミキシング回路にDBM(ダブルバランスドミキサー)を使用して引き込み現象を押さえ 比較的低い音域までサイン波(正弦波)を保ちます。 高音域:サイン波(正弦波) 中音域:サイン波(正弦波) 低音域:発振器の引き込み現象が強くなり倍音の多い波形になります。 中音寄りでは波形が傾斜してのこぎり波成分が含まれます。 低音になるほど引き込み現象が強くなり引きつった波形になります。 音色可変方式:矩形波化回路 / ソフトクリップもしくはオーバードライブ的な動作 (アンプのゲインを変えることで矩形波状の音色となります。) ■ ヘテロダイン++ ミキシング回路にDBM(ダブルバランスドミキサー)を使用して引き込み現象を押さえ 比較的低い音域までサイン波を保ちます。 高音域:サイン波 中音域:サイン波に傾斜を与える特殊コイル(PAT.)を組込み、のこぎり波成分が含まれます。 高音域寄りではサイン波の傾斜は緩やかになります。 低音域:ヘテロダインよりも中音寄りののこぎり波成分が多くなります。 音色可変方式:矩形波化回路 ■ ノンヘテロダイン式(NH式) 超小型VCOとNH化により普通サイズのテルミンでVCO内蔵(*1)を実現しました。 (NH式ではヘテロダインを介せず高周波から直接CV(ピッチ制御信号)を得ます。) 音色はサイン波からのこぎり波成分を多く含む音色まで一つのつまみで連続可変できます。 従来から行われている矩形波化回路も併用しました。 注:*1 これまでVCO内蔵テルミンは高級機のイメージでしたし、回路が複雑で大型でした。 すでに生産完了となっており希少機種となっています。 選べるケース (3タイプからお選びいただけます) HAKO(木製箱型) POKO(木製) TLBOX(樹脂製) ![]() ----------------------------------------------------- オリジナル・テルミンのキットと完成品の販売 お問い合わせは”テルミン ハウス”の”お問合せ先”までどうぞ!。 http://theremin.mb-labo.com/ ----------------------------------------------------- ▲
by MB_theremin
| 2014-10-11 23:36
| テルミン
2012年 10月 08日
市販モデルのテルミンの原点と言っても良い?かも知れない ”RCA AR-1264 テルミン”の回路図を眺めていて、この回路をFETに置換えてみても実用的なテルミンになりそうな気がして作って見ました。 RCAテルミンの回路はこんな回路だったそうです。 http://www.theremin.us/RCA/RCA_Service_Notes/page_08.gif もう一枚書き方を変えた図面も見つかりました。 http://www.theremin.us/RCA/rca_schematic2.gif こちらの方が動作の解析をするには良さそうです。 多少アレンジしましたが電源の三端子REG以外はほとんどFETでテルミンを作りました。 ![]() FET(6本)、TR(1本)、三端子REG(1本)のシンプルなテルミンができました。 ![]() プリント基板 2種類のケースを作って見ました。 1つはスリムな箱型のケース、塗装とラベルでレトロな感じにして見ました。 ![]() 演奏動画です、mix回路にDual FETを使用したので弾き込みの少ないテルミンとなっています。 そのため普通のテルミンよりも低音域でも弾き易いのでお友達に低い音域で弾いてもらいました。 http://www.youtube.com/watch?v=Co98j08nhBI 2つ目はケースと言うよりは折りたためるようにした板に基板とアンテナを取り付けただけのテルミンです。 ![]() VOLアンテナは板に固定してあります。 このままでも問題なく演奏できますが、あまりにもシンプルと言うかそっけない外観なので前面に飾りの板を取り付けて、こちらもお友達に弾いてもらいました。 演奏が終わると分解して折りたたむところが見られます。 http://www.youtube.com/watch?v=1jx0Nh7MbOw ----------------------------------------------------- オリジナル・テルミンのキットと完成品の販売 お問い合わせは”テルミン ハウス”の”お問合せ先”までどうぞ!。 http://theremin.mb-labo.com/ ----------------------------------------------------- ▲
by MB_theremin
| 2012-10-08 19:13
| テルミン
2011年 08月 28日
テルミン・エンジン(1-アンテナ・テルミン本体) シンプルなプラケースに組み込みました。 ![]() 手の平に乗るサイズです。 完成品と組立キットがあります。 自作のケースや身の回りにある物に組み変える事もできます。 オリジナル・テルミンdesignセットにはボール・アンテナが付属します。 ![]() ボール・アンテナにぬいぐるみを着せて楽しむ事もできます。 ![]() 普通の木製ケースに組み変えた例 ![]() こんなテルミンもできました。 ![]() Theremin Book ぼくキョロちゃんですー、普通に弾けるテルミンです。 ![]() ----------------------------------------------------------------------------------- オリジナル・テルミンのキットと完成品の販売 テルミン ハウス http://theremin.mb-labo.com/ ▲
by MB_theremin
| 2011-08-28 18:01
| テルミン
2010年 04月 16日
テルミンのピッチ特性は演奏してみて低い方と高い方の1オクターブの間隔が違うような気がすることを感じても客観的に知ることができません。 複数のテルミンとの比較も主観的な判断になってしまいます。 そこで以下のようにしてピッチ特性をグラフにすると良く判ります。 今回測定したピッチ特性のグラフ ![]() 上のグラフで直線的な部分は各オクターブ間の移動距離がほぼ同じ間隔で弾き易い範囲であることを示しています。 グラフの線は発音可能な範囲となります、4オクターブ以上の範囲は弾き易い事が判ります。 グラフの横軸の長さはゼロポイントのとり方で変わります。 テルミンのピッチ特性は次のようにして測定します。 1.右手の指先とピッチアンテナの距離を測る。 2.その時発音している周波数を周波数カウンター等で測定する。 3.発音範囲で1と2を繰り返して表にする。 測定ポイント数はオクターブ当り1、2点両端は各3点位測定します。 直線的に変化する範囲はオクターブ1点でも良いです。 4.3で作った表を片対数グラフにする。 1ポイントの測定中に姿勢を変えると正確な測定ができないので実際の測定には色々な小道具とかノウハウが必要になります。 ボリュームコントロールの特性も同様にグラフにすることができます。 ピッチと違って左手を上下すれば反応が良く判るのでまだ試していません。 Youtubeに投稿したmrkattyanの最新の動画は ”VOL・音色動画ver1” 次回はテルミンのアースのとり方などについてを予定しています。 ---------------------------------------------------------------------------------------------- テルミンの製作記事(回路図等の製作データもあります)と販売のサイト http://www.mb-labo.com Youtube 動画は mrkattyan に投稿 ▲
by MB_theremin
| 2010-04-16 18:02
| テルミン
2010年 04月 10日
これまでにテルミンのケースを何種類か製作しました。 構造的には以下のようなタイプを製作しました。 1.Etherwaveのようにコの字型を2ヶ造って組み合わせるタイプ。 2.丸木船のように上から刳り貫いたような構造。 3.重箱のような箱を造って蓋(平板)を乗せるか兆番で止めるタイプ 材質は 木 : ファルタカ、ヒノキ、なら、ケヤキ など (左は柔らかく軽い木、右は堅くて重い木になります)。 樹脂 : アクリルなどがあります。 金属 : テルミンには適しません。 今回はケヤキの板材でテルミンのケースを製作しました(写真は塗装前)。 構造はコの字2ヶタイプです、木工ボンドで接着し内側に補強がしてあります。 カバーの止め穴をける前の写真です、正面と背面ににカバーの止めネジ2本づつ取り付けられます。 木部のみの寸法 :約 450×170×70 mm ![]() 前回製作した丸木舟構造ケースです。 材料は本体はファルタカ板を4枚接着し内部は刳り貫いてあります、天板と合わせて5枚使用してあります。 塗装は水性着色ニス(ゴールデンオーク)。 木部のみの寸法 :約 450×150×65 mm ![]() こちらは”なら”材を使用したスリム(幅を狭くした)なケースです(塗装色はゴールデンオーク)。 箱型のケースに天板を兆番止めしてあります、止め具のドイツ錠は品切れで片方のみ取り付けてあります。 木部のみの寸法 :約 450×73×65 mm ![]() こちらはファルタカ材を使用した丸木船構造です(塗装色はマホガニ)。 操作パネルを上面にしてあります、天板は上部で木ビス止めしました。 ![]() こちらは2つに折りたためるタイプになります(塗装色はケヤキ)。 材質はファルタカ板を使用し丸木舟構造です、操作パネルを上面にしてあります。 ![]() 折りたたんだ状態 ![]() こちらはカバーにアクリル板を使用したスケルトン型です。 実験用に使用しています、写真は2台のポケットラジオで作るテルミンの試作時のもの。 ![]() 次回はテルミンのアースのとり方などについてを予定しています。 ---------------------------------------------------------------------------------------------- テルミンの製作記事(回路図等の製作データもあります)と販売のサイト http://www.mb-labo.com ▲
by MB_theremin
| 2010-04-10 20:59
| テルミン
2010年 03月 09日
今回はテルミンのケースの製作についてです。 3月29日完成したケースの写真を下段に追加しました。 3月22日塗装の写真を下段に追加しました。 ![]() 写真のケースのように角が丸く仕上げてあるケースを考えました。 木板を六面から貼り合わせて箱型にするのでなく、丸木舟のように中をくり貫いた構造で造ります。 上の写真は薄型ケースの例で操作つまみが上面になっていますが、今回は単2型電池4本を収納したいので 約450mm×150mm×65mm とします、操作つまみは前面(演奏者の側)配置となります。 材料は加工のし易い150mm幅、板厚13mm、長さ910mmのファルカタ材3枚を用意します。 3枚とも1/2の長さ約455mmにカットし、150mm幅、板厚13mm、長さ455mmの板5枚を使用します。 ![]() 5枚の内の3枚は中をくり貫いて枠のようにします。 手前の穴の開いたベニア板はトリマー用のテンプレートです。 ![]() 3枚を木工ボンドで接着すると外形は455mm長、150mm幅、板厚39mmとなります。 ボンドが固まってから、内側を木工やすりやドレッサーなどで張り合わせのずれたところを削って平らにします。 ![]() 底板をボンドで接着すると丸木舟構造ができます。 外側をかんなや木工やすり、ドレッサーなどで削って整えます。 アンテナ継ぎ手取り付け用の穴3ヶと操作パネル部分を開口します。 マイクスタンド用の金具の取付け穴やプリント基板固定用のスペーサーの下穴も開けておきます。 緑色は部品を実装する前のプリント基板 ![]() 残りの1枚は天板になります、電池式テルミンのケースとするので電池交換がし易いように兆番を付けて開閉できるようにします。 アンテナ取付け用の継ぎ手とアンテナ、電池BOX(UM2×3)も仮付けしてみました。 早く室温になじむよう通風孔も追加しました。空気は底面から吸気して本体と天板の間の隙間から上へ抜けます。 ![]() 天板を閉めるとこんな感じ Volアンテナ外側とピッチアンテナの間隔は約70cmあり標準的な演奏法ができます。 ![]() 以下は210/3/22の加筆です。 塗装ファルカタ材は加工がし易く、しかも軽いので良いのですが、傷がつきやすい、吸湿し易いなどの欠点もあります。 長期間使用する用途には塗装が必要です。 塗装をする前にペーパーをかけ、下処理をしてから着色ニスを吹付け塗装して仕上げます。 今回は水性着色ニス(ゴールデンオーク)を3回ほど重ね塗りしました、内側も吸湿防止に色がつく程度に塗装にします。 ![]() 以下は2010/3/29の加筆です。 プリント基板、アンテナ、操作パネルを取り付けて超軽量テルミンの完成です。 正面(演奏者側)から見たところ アンテナはバフ仕上げニッケルクロームメッキまたはステンレス製です。 天板の留め金(ドイツ錠と呼ぶそうです)がなかなか見つかりませんでした、印鑑箱などでは今でも使用されてるようですが5階建てのビル全てが倉庫になっている大きな金物店でも今は作ってないよ云われましたが何とか見つかりました。 ![]() 背面(お客さま)から見たところは部品は付いていないので平面状です 背面と天板にトールペイントの上手な知り合いに花の絵を描いてもらえる予定です。 あなただけのマイテルミンの製作にお応えできます、いかがでしょうか。 ![]() 内部の様子は試験中につき小さい写真です。 ![]() テルミンの重量比較 超軽量テルミン : 約1.6kg(アンテナ、乾電池UM-2×4本を含む) Etherwave : 約2.6kg(アンテナ、ACアダプター410gを含む) 次回はこれまでに製作した色々なテルミンのケース テルミンのアースのとり方 などについてを予定しています。 ---------------------------------------------------------------------------------------------- テルミンの製作記事(回路図等の製作データもあります)と販売のサイト http://www.mb-labo.com ▲
by MB_theremin
| 2010-03-09 17:29
| テルミン
2010年 03月 08日
今回は”アンテナコイル”について 良質なテルミンを造りたい(2) でテルミンのピッチ特性を各オクターブともほぼ同じような距離にするにはピッチ発振回路とアンテナとの間にアンテナコイルを入れると説明し、その効果をグラフ化して示しました。 テルミンの製作記事はweb上に沢山UPされていますが、アンテナコイルについての情報はほとんどありません。 そこで他からの転載では不都合が出るかも知れないので自分でE-waveの写真を撮りました。 ![]() 写真中央の3ヶのコイルがアンテナコイルです。 アンテナコイルとアンテナ継ぎ手の間は太めのメッキ線で配線されています、これは柔らかい線で配線すると配線が動いてピイッチ特性がづれるのを防ぐためと思われます。 以前webでアンテナコイルとアンテナの間に貼ってあるアルミ箔の働きについて議論されていた事がありますが、このアルミ箔にもピッチ特性を整える働きがあると考えられます。 web上でアンテナコイルの実装状態が確認できる例として、はe-windsさんのweb中の開発秘話の中にe-winds製品版の内部と言う写真が出ており、ケースの右角に数個のコイルが確認できます。 アンテナコイルについて詳しい説明が出ているのは Silicon Chip August 2000 theremin kit modifications の中で Linearizing the pitch sensitivity として説明されています。 しかし、具体的にどのようなコイルを実装したかについてはコイルの値や型名や写真などは見当たりません。 もっともなことで実際に製作してみると単純に何mHとは書き辛いところがあって発振回路の特性、発振周波数、共振回路のL/C比、アンテナの形状、アンテナコイルの特性(特にコイルの自己共振周波数や寄生容量)や実装方法、ケースの状態等がからんで最適な値を表示してもまったく同じものを造るのでなければ再現が難しいことが解ります。 ★ それでは話にならないので参考程度に大雑把な値を示すとすれば、10mH位から数10mHの範囲で特性を確認しながら決めるというのが私の答えです。 参考 使用する周波数に対して自己共振周波数が低い場合や寄生容量が大きいコイルはアンテナコイルとして使用できません。 上の写真の例では空芯(コアーを使用しないボビンに巻かれている)の分割ハニカム巻きコイルが3ヶ直列に実装されています。 コイルを3ヶに分けたり、リツツ線を分割ハニカム巻きにするのは自己共振周波数や寄生容量による影響を減らすのに効果があると思われます、また空芯コイルはコアーを使用したコイルよりも温度特性が良いと思われます。 しかしコアー入りコイルの場合は巻き数が少なくなることや小型にできるメリットがあります。 コアー入りコイルは巻き数が少なくなるので寄生容量が少なくなりそうですが市販のほとんどのコイルは巻き線がコアーにベタに巻きつけてあり、巻き線が各層で最下層の引き出し線と接触しておりテルミン用としては適さない場合が多いようです。 この場合も一ヶのコイルで調整しようとしないで複数のコイルに分けて実装すると良い場合があります。 なお、電源ON後ピッチが安定しない場合は発振回路はもちろんアンテナコイルの温度特性も検討する必要があります。 次の写真は”ヘテロな実験室”で製作したテルミンのアンテナコイルの実装例です。 下記のお知らせの理由でモジュール化してあります。 ![]() ★ アンテナコイルが無くてもピッチ特性が良好なテルミンの例 http://en.wikipedia.org/wiki/File:Lydia_kavina.jpg で ロシアの代表的なテルミン奏者 Lydia Kavina さんの使用されているテルミン t-Vox (ロシア製)は現在は購入できないようですが、アンテナコイルと発振コイルが一体になったような回路と見受けられ独立したアンテナコイルはありませんが大変弾きやすいピッチ特性です。 ★ お知らせ へてろな実験室で製作したテルミンはテルミンの製作キットとして (完成品もあります) 販売しておりますが発振回路とアンテナコイルをモジュール化してアンテナとともに検査装置に実装して動作確認をして出荷しておりますので再現性が高くなっております。 次回はテルミンのケースの製作についてを予定しています。 ---------------------------------------------------------------------------------------------- テルミンの製作記事(回路図等の製作データもあります)と販売のサイト http://www.mb-labo.com ▲
by MB_theremin
| 2010-03-08 23:38
| テルミン
2010年 03月 08日
今回は”素直な音色が出ていること”について 人によって”素直な音” とか ”まるい音” とか呼ばれるようですが電気的(波形的)に言えば歪みの少ない正弦波が出ていることが第一条件で次に波形を加工して音色を加工することになります。 テルミンの場合はmidiように一音、1音発音するのでなく常に連続して発音されているので音色の加工といってもそんなに複雑なことはされません、何らかの方法で程よく歪を与えることになります。 最大限に歪ませると矩形波になります、アンプのスレッショールドを変えてdutyを変えることもあります。 効果音的に使う場合を除き、あまり過度に波形を加工した音は好まれないように思います。 ここでは歪みの少ない正弦波を出すことに専念することにします。 一言で言えば、ピッチ発振器とレファレンス発振器の出力を歪の少ない正弦波とすることです。 実際にはこれがなかなか大変で以下のような条件を満たさなければいけません。 1.周波数が安定していること 時間的な安定と温度変化に対する安定が必要です。 周波数の安定度としては発振周波数にかかわらず数秒間の間のふらつきを数Hz以下にします。 電圧変化でも周波数が変化するので電源の安定回路と十分な容量のデカップリングをします。 温度変化によるピッチのズレはピッチ発振器とレファレンス発振器は同じ回路構成とするとある程度は改善されます。 2.適度な周波数変化が得られること テルミンは発振周波数に関係なくピッチ発振器にアンテナをつないで手を近づけたり遠ざけたりした時の周波数変化が発音可能な周波数変化となるので、2kHz~3kHzの変化が必要です。 2kHz~3kHzの変化では少ないように思えるかも知れませんが、ここではアンテナコイルでピッチ特性の調整をすることを前提にしているのでこれで良いのです。 ピッチ特性の調整をすると周波数の変化範囲が広くなってきます。 3.引き込み現象を少なくする(*1) この項は前回と重複するので詳しくは書きませんが低い音の歪みを減らすのに重要です。 ゼロポイントに近付くと二つの発振回路が干渉して波形が歪んできます、このためテルミンの演奏音も中、高音ではきれいな波形をしていても低音部では歪んだ音になりがちです。 4.テルミンに最適な発振回路 X-tal発振回路は周波数安定が良いのでこれでテルミンを造りたいなどと言うアイデアを見かけますが上記の2の条件が満たされなく失格となります。 ◎ 総合的にはL/C発振回路が良いようです、2番手としてCR発振回路も考えられますが私としては発振素子の一端がアースまたは電源につながっている回路が良いと言うこだわりがありまして・ ・ ・ 、 ここではL/C発振回路を使用してテルミンの製作をすすめることにします。 これで(*1)と合わせてより低い周波数の音域まで正弦波(丸い音)のテルミンができそうです。 今回は高精度の部品を選んだり、選別した部品を使用して良好な発振モジュールに仕上がりました。 ![]() ----- 発振波形はきれいな正弦波となっています、周波数の揺らぎもほぼ1Hz/秒以下をクリヤーできました。 ![]() 次回はアンテナコイルについてを予定しています。 ---------------------------------------------------------------------------------------------- テルミンの製作記事(回路図等の製作データもあります)と販売のサイト http://www.mb-labo.com ▲
by MB_theremin
| 2010-03-08 15:19
| テルミン
2010年 02月 22日
良質なテルミンを造りたい(2) ◎今回は 2.音域が広いこと >> 発振回路間の引き込みを少なくする ・音域 テルミンの演奏可能な音域を広くするにはより低い周波数が出るようにし、より高周波数が出るようにすれば良いので実現する音域の目標を3オクターブ~4オクターブとします。 ここで云う演奏可能な音域とは発音可能な音域と言うのではなく前回の説明にあるピッチ特性が直線的になっている演奏のし易い範囲の音域とします(発音可能な範囲は4オクターブ~6オクターブとなります)。 より低い周波数が出るようにすると言ってもスピーカーの特性からも限度があり50Hz~60Hz程度まで出ておれば良いかと思います。 高い方は3kHz~4kHzのどこかになるかと思います。 この内の直線性の良くない両端を除く3~4オクターブが演奏のし易い範囲となります。 あまり演奏可能な音域を広くとると標準的な演奏法をするにはテルミンと演奏者の間隔を少し広めにして立つ必要があるかも知れません。 ・なぜ低い方の音が出ないか テルミンは2つの発振回路が干渉しており低い周波数を発音するときは2つの発振回路の周波数差が小さくなっておりどこかでどちらかの発振回路が引き込まれ2つとも同じ周波数で発振することになります。 従って発振回路間の結合を極力少なくして引き込みを少なくすれば低い方の音域を広くできます。 ダイオードミキシングの場合はダイオードへの結合コンデンサーを介して引き込みループが出来てしまいますのでこのコンデンサーの容量を小さくしなければなりませんが出力が低くなってしまうのでE-waveあたりの定数が限界かと思います。 ・どうしたら低い方の音が出るようになるか 発振回路間の引き込みを少なくすると言うのが結論です。 これを改善するためにしてダイオードミキシングではバッファーを介してミキシングする方法があります、アクティブミキサーを使用する方法もあります。 アクティブミキサーとしてはDBMを使用する方法がお手軽で良い結果が得られます。 ヘテロな実験室では今回DBM(NJM2593)を使用して良好な結果を得ました。 テルミンは回路上で良いと考えても製作してみると期待通りの結果が得られないことがあります。 原因としては2つの発振回路のレイアウトが良くなく引き込みが早く起こる、アースや電源ラインが影響している。 見落としやすいのはアンテナから電波が出ており直接回路に飛び込んでいることを意識する必要があります、バッファーを入れてもそれ程良い結果が出ない場合はこの可能性があります、できる限り小さい面積で実装できる回路が得策のようです。 場合によってはt-Voxのように部分的なシールドをする必要があるかも知れません。 ・どうしたらより高い方の音が出せるか こちらはズバリ発振回路次第と言うのが結論です。 たとえばX-tal発振回路は周波数が安定していると言われますが周波数の可変範囲が極端に狭くテルミンには不向きなのです、テルミンの発振回路は安定度からも色々な特性からもLC発振回路がお勧めです。 周波数とL/C比から必要な周波数変化が得られるように各定数を決めます。 ただし、ピッチ特性を直線的に調整するためにアンテナコイルを接続すると発振可能な範囲が変化するので両方のバランスをとりながら定数を決定します。 また、使用するアンテナによっても大きく定数が変わりますのでまず先にアンテナを製作する方が良いかと言えます、更にケースに収めると再調整が必要になるのでケースも早い段階で手当てをした方が良いと思います。 ---------------------------------------------------------------------------------------------- テルミンの製作記事(回路図等の製作データもあります)と販売のサイト http://www.mb-labo.com ▲
by MB_theremin
| 2010-02-22 22:04
| テルミン
2010年 02月 21日
良質なテルミンとは?、と、言ってもあまりにも漠然としているので取敢えず範囲を絞ってみます。 ここでは2アンテナ・テルミンを造りますが、今回はピッチ回路について取り上げます。 1.弾きやすいピッチ特性であること >> アンテナコイルによるピッチ特性の調整 2.音域が広いこと >> 発振回路の引き込みを少なくする 3.素直な音色が出ていること >> 歪みの少ない正弦波発振回路 ◎今回は 1.弾きやすいピッチ特性であること >> アンテナコイルによるピッチ特性の調整 テルミンは周波数の接近した2つの高周波発振回路を干渉させその差の周波数を音として出力します。 片方の発振回路(REF OSC)は周波数が固定されています、他方の発振回路(PITCH OSC) は垂直のアンテナ(PITCHアンテナ)に接続されます。 アンテナにてを近づけたり遠ざけたりすると手先とアンテナの間の静電容量が僅かに増減して発振周波数を変える事で音程(ピッチ)を変化させて演奏をします。 良質なテルミンは3オクターブ以上の音域を持ちますが低い方の音を1度変化させるための手の移動距離(dL)と高い方の音を1度変化させるための手の移動距離(dH)の関係が dH<<dL となって演奏がしづらくなります。 弾き易くするにはほぼ dH=dL となるようにすれば良く、アンテナコイルをPITCH OSCとアンテナの間に挿入します、使用する周波数よりも自己共振周波数が高いことは勿論、温度特性も良好なコイルを使用します。 演奏家は数十秒のテストでほぼ弾き易さを判断しますが初心者にはなかなか判断が難しいです。 当ヘテロな実験室ではピッチ特性を測定してグラフ化することで客観的に評価をするとともに実際に演奏をして調べております。 ----- グラフの直線性のよい部分が弾きやすい範囲となります(赤色のグラフ) ----- 青線のグラフはアンテナコイルのない状態グラフの曲がっているところは弾きにくい ![]() D:\_Data\mblb\Theremin\pitch8617b.jpg このような特性にするためには周波数の変動が少ない発振回路としなければなりません。 目安としては秒単位以内の周波数変動は1Hz程度までに抑える必要があります。 変動が多いと音が濁ったりピッチが安定しません。 次回の予定は 2.音域が広いこと >> 発振回路の引き込みを少なくする ---------------------------------------------------------------------------------------------- テルミンの製作記事(回路図等の製作データもあります)と販売のサイト http://www.mb-labo.com ▲
by MB_theremin
| 2010-02-21 22:24
| テルミン
1 |
アバウト
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||